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2017.12.20「ポルシェのブランディング〜その1」

今年の春、6、7年振りに上海に出張した折、空港の駐車場や市内に入る高速道路でまず思ったのは「ポルシェが増えたな」という事でした。もちろん上海は国際都市なので以前からベンツやBMW、アウディなどドイツ車を中心とする高級外車は沢山走っていたのですが、今回やたら目についたのはポルシェそれもカイエンやマカンというSUVモデルでした。そうか、これらのモデルは中国の富裕層の間でステータスシンボルになっているのだなとピンと来ました。

調べてみたところ2017年上半期でポルシェは中国で販売台数を伸ばし、35864台を売っています。これはアメリカの27568台を大きくしのぎ世界1位。人気車種はやはりマカンとカイエンそれにセダンのパナメーラとのことです。だとしたら上海はおそらく世界で一番マカンやカイエンが走っている都市と言っても間違ってはいないでしょう。

(ポルシェ カイエン ポルシェ公式サイトより)

実はポルシェという自動車メーカーはものすごく特異な存在なのです。

突然ですが、「世界のスポーツカーブランドを3つあげてください」という質問にあなたはなんと答えますか?クルマに詳しい方は色々とあげられると思いますが、一般的にはフェラーリ、ランボルギーニそしてポルシェがあがるのではないでしょうか。ではそれぞれのメーカーの年間販売台数をご存知でしょうか??

フェラーリがおよそ8000台、ランボルギーニに至っては3457台なのに対し、なんとポルシェは23万7778台(いずれも2016年)を販売しています。もちろん世界1位のVWやトヨタは1000万台を超えていますので、そういう巨大メーカーとは桁が二つも違います。日本のメーカーでいうとスバルが105万5756台なのでおよそ4分の1の規模です。

ちなみに、そのスバルとポルシェの売上高の差はいくらくらいでしょう?

答えはなんとほぼ同じなのです!(スバル2兆8779億円、ポルシェ2兆8638億円 2015年実績)

つまりポルシェは1台あたりの単価がスバルの4.4倍ということになります。うーん、実感ではもっと差があっていいような気がしますね。日本市場が特殊で海外ではポルシェはもっと安く、スバルはもっと高いのかもしれません。

(話が脱線してしまいました。)

熱心なフェラーリファンは「フェラーリは年間7000台を超えてはならない」と言います。それがプレミアムブランドとしての希少性を保つラインというわけです。(もうすでに超えています)

私に言わせるとフェラーリはもはや工業製品ではなくて手工芸品です。それに比べるとポルシェは全くの大量生産メーカーなのですが、でもプレミアムブランドとしてのポジショニングとブランド価値を保っています。そこにポルシェというメーカーのブランド戦略とマーケティング戦略の巧みさがあると思います。

今回はマクラだけで紙幅が尽きてしまいました。次回は「プレミアム・スポーツカーブランド」ポルシェのブランディングの一端をもう少し掘り下げて探ってみたいと思います。(続く)