BLOG

2017.05.09迷走する?RAIZINのブランディング。

近頃テレビを見ていて、すごく気になるCMがありました。スーツ姿のサラリーマンの集団が交差点で、マスゲームをしているCM。ご覧になられたことありますよね?集団の動きが一糸乱れず。。CGなのか?実写なのか?『RAIZIN」という栄養ドリンクのCMでした。おやっ、RAIZIN、ってこんなブランディングだったっけ?

RAIZINは大正製薬が発売している栄養ドリンクのブランドです。日本の栄養ドリンク市場は長い間、大正製薬のリポビタンD、大塚製薬のオロナミンC、そして武田薬品のアリナミンV。この3大ブランドが市場を席巻していました。しかし、この3大ブランドも寄る年波には勝てません。「リポビタンDやオロナミンC、アリナミンVってオヤジ臭くない?」「元気イッパーツって、オレたち、そんな残業もしないしなあ。。」若いサラリーマンやOLたちはそんな気分だったのではないでしょうか?

そんな市場と気分のスキマに、栄養ドリンクならぬ「エナジードリンク」(元気になるためではなく、気分を上げるために飲む)という新しいカテゴリーにポジショニングし、グローバルなブランディングとものすごいマーケティングコストの投下(売上高の30%とか?)で一気にシェアを奪ったのが、ご存知のRed Bullです。この成功に第一人者の大正製薬が面白いはずはありません。満を持して、2013年に同じカテゴリーに同じコンセプトで投入したのがRAIZINでした。

ものすごい対抗意識がアリアリですね。しかし、このデビュー・ブランディングは決してうまくは行きませんでした。その証拠に2年後、早々とRAIZINはブランディングを大きく軌道修正します。

出ました!一向に上がらぬ売上げに業を煮やしたのか?「鷲のマークが目に入らぬか!」とばかり、天下無敵の紋所(コーポレート・ブランド)を振りかざして、なりふり構わぬ攻勢に出ます。この結果は、、、火を見るよりも明らか。今や我々の記憶の中にもありません。

大正製薬は再々度、ブランディングの見直しを迫られます。そして、この春、背水の陣で?世に問うたのが今我々が目にしているブランディング。デザイナーはnendoの佐藤オオキさん。さすがに佐藤さん、スタイリッシュなデザインです。(よくプレゼンを通しましたね)エナジードリンクというカテゴリーからも脱出してイメージや気分だけで売ろうとする典型的な「記号的ブランディング」。今日乗った大阪環状線では下の広告が電車ジャックをしていました。私は大正製薬の並々ならぬ決意と意欲を感じ、帰りにコンビニに立ち寄って、RAIZINとRed Bullを購入しました。さて、この戦い、皆さんはどちらに軍配を上げられますでしょうか?