2016.12.2 []

AI vs Branding ?

先日(11月25日)の朝日新聞に、国立情報学研究所の新井紀子教授が「AIの弱点は『意味の理解』」と題した、興味深い記事を寄稿していた。新井さんは「東ロボくん」と名付けたAIに大学受験に挑ませるというプロジェクトをやっている先生だ。「東ロボくん」は今年ついにMARCHや関関同立と呼ばれる難関私大に合格可能性80%と判定された。いずれ東大にも合格するかもしれない。

新井さんは自問する。AIが東大に入るような日が来たら、その時人間は労働から解放されて幸せになるだろうか。新井さんは否定的だ。AIから得られる富を地球上の全ての人に平等に配分されるような仕組みができない限り、経済格差は広がるばかりだろう。(ITが社会に導入されて以来、経済格差が広がり続けているように)新井さんの予想はこうだ。2030年に現在のホワイトカラーの仕事の半分はAIに置き換えられる。

新井さんの生徒は「ではなぜ、私たちの仕事を奪うかもしれないAIの研究をするのですか」と彼女を責める。彼女はこう答える。「私がやめても世界の企業や研究者はAIの研究をやめはしない。ならば、 AIの可能性と限界をきちんと見極め、対策を取ろうではないか。AIには弱点がある。それは彼らが『まるで意味がわかっていない』ということだ。」と。

Anthropocentric series. Backdrop of human face and design elements on the subject of technology, science, education and human mind

Branding is Meaning。私はブランディングとは何かと聞かれてこう答えることが多い。「ブランディングとは意味を創り出す行為ですよ」と。「(その商品を)買う意味」「(そのサービスを)受ける意味」「(その会社に)入る意味」意味を創り出し、一貫してその意味を伝え続けるのがブランディングだ。だとすれば、ブランディングとはAIが最も不得意とする、即ち最も人間的な行為ではないか。

新井さんはこう寄稿を締めくくる。「みなさんは、どうか『意味』を理解する人になってください。それが『ロボットは東大に入れるか』を通じてわかった、AIによって不幸にならない唯一の道だから」

ブランディングに携わっている皆さん。ご安心ください。

近い将来、AIが職場に侵入して来ても、あなたの仕事だけは大丈夫ですよ!

2016.10.13 []

「マリメッコというブランド」

現在、西宮で開催中の「マリメッコ展」。

グラフィックとテキスタイルとファッションのデザインが本当に親密に正三角形を形成していた、古き良き時代。ジャクリーヌ・ケネディのあのサックドレスもマリメッコだった。1963年の「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン」紙はマリメッコの服を「インテリのユニフォーム」と呼んだ。スミスやラドクリフの女子大生がこぞって服を買い求め、それが「ライフ」誌を飾った。こうして、60年代のアメリカでマリメッコのブランド神話は確立した。

ブランディングについて言えば、1952年にマリメッコのロゴを何人かのデザイナーに依頼した創業者のアルミ・ラティアは、提案されたデザイン案がどれも気に入らずに却下。その時たまたま側にあったアメリカのインテリア誌に使われていたオリベッティのタイプライターの書体に魅せられ、それをベースにいまのロゴの前身が創られたと言う。

シンプルで普遍的なものこそが時間と境界を乗り越えることができる。そのことを熟知していたアルミの知性と先見性。そして、アルミのビジョン通り、マリメッコはファッションからアクセサリー、食器から室内装飾に至る、文字通りのライフスタイルブランドとして、グローバルにその力強く、ポジティブなブランドの世界を広げていくのだった。

西宮大谷記念美術館で2016年11月27日(日)まで。

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